なちぐろ アーカイブス

ヒカ碁二次創作のお話置き場です(ヒカル少女化注意)

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リボンの棋士 45


王城の地下に広がる空間。


地底の玉座にも見える岩の上では、今はヒカルに代わって佐為が永夏の対面に座し、緊迫する対局が続いている。

 

その側でヒカルとアキラは、対局する両者の痛烈な打ち込みに目を瞠り、予想だにせぬ意外な一手に目を丸くし、極限まで研ぎ上げられた刃が目まぐるしく閃くような高度な戦いを、追いすがるように見守るのが精一杯だ。

二人は盤面に吸いこまれそうな勢いで、双方の繰り出す練り上げられた一手一手に見入っていたのだった。

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リボンの棋士  44


洞窟の中に高く聳える岩に刻まれた螺旋の石段を、目指す頂を見上げながら
ヒカルはおもむろに昇っていった。


「行ってはダメだ!」
「…ヒカル…!」

 アキラや佐為には、いけにえが自ら捧げられに行くようにしか見えない。

 

ヒカルは恐れに震えながら、それでも待ち受ける永夏から顔をそらす事はできずに、一歩一歩階段を踏みしめた。

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リボンの棋士 42

 

西の国。
王城の とある場所。

 

暗く窓の無い広い空間の、その奥。宙に浮かぶ松明は、蒼醒めた色の炎を揺るがせて永夏の姿を浮かび上がらせていた。

その長身の若い男は、黒く長い衣をまとい、暗い部屋の真中に唯一照らし出されている碁盤を置かれたテーブルを前に、椅子に足を組んで座っている。

赤い炎のような髪をかきあげ、伏した目を縁取る睫に揺らめく光を映して、ゆっくりと石を置いた。

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リボンの棋士  41

 

西の国の平原を マントを翻して駆けて行くのは、ヒカルと社の二騎。

 

その後をアキラが佐為と倉田を乗せた馬車を御して追う。

計5人のパーティーとなったヒカル一行。

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リボンの棋士  40

 

河を渡りきり、対岸に辿り着いた二頭の馬は、荒い鼻息をつきながら、秋の草が茂る土手を踏みしめて陸に上った。

岸の周りの気配を注意深くうかがっていたが、何も怪しい様子は感じられない事に社もヒカルもホッと肩を落として、手綱を緩めた。

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リボンの棋士 39

 

 

細い首に、やわらかな頬の感触、たしかにリボンの棋士だと思ったのもつかの間、
ぱさり、と、肩に落ちたフードから現れたのは、黒い仮面をつけたヒヨコ頭。

びっくりして社は手を離す。

「…エ???お、おい、オマエは…。」

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リボンの棋士 38

 

アキラに支えられて何とか立ち上がったヒカルだが、

“前”を直しながら「くそォ!あのヤロー!」と悪態をつく“ヒカル”が現れ、再びぐらついた。

 

「こんなところで気絶なんかしてもらっては困る。」
肩を支えるアキラの台詞にカチンときたヒカルは
「(だっ、だれが気絶なんかするか!)」
肘でアキラを振り払うと、片手で、ぎゅう、と自分の頬をつねった。

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リボンの棋士  37

 

 

飛びこんできたもう一人のヒカルは、ヒカルに、うれしそうに飛びついてきた。

「わあっ?!」
「ヒカルがもう一人ですとー?」
「同じ顔だあ。双子?」

「ヒカル様が…二人???」

目の前の二人のヒカルを見て、あかりは気絶してしまった。

「あかりっ!」

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リボンの棋士 34

 

「フン、まあ、墜ちたと言うても、ワシの知っとるうちではカワイイもんじゃ。
確信犯ではないしのう。
自ら望んで天に背く者ならば、闇の力を手に入れるじゃろうが、人間同然にまるっきり力を失うとは…、
堕天使と言うよりは、駄天使、と言ったほうが合うとるようじゃの。」

かっかっかっと笑う桑原だが、

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リボンの棋士 32

 

明け方近く。

 

ヒカルは眼を覚ます。

 

自分の部屋のベッドに身を沈め、ふかふかの布団に包まっていた。

いつもならまだ秘密の部屋にいて、碁の特訓でもやっている筈の時間なのだが。

「いつの間に戻ってきたんだろ…?」

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リボンの棋士 31

 

アキラは目の前にうずくまる亜麻色の髪の乙女を見下ろして、小さく呟いた。

「やっぱりキミ…!? 見間違いじゃなかったんだ…。」

 

『ア、アキラ…!』

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