なちぐろ アーカイブス

ヒカ碁二次創作のお話置き場です(ヒカル少女化注意)

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2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

リボンの棋士 31

アキラは目の前にうずくまる亜麻色の髪の乙女を見下ろして、小さく呟いた。 「やっぱりキミ…!? 見間違いじゃなかったんだ…。」 『ア、アキラ…!』

リボンの棋士 30

日が暮れて、満月にはまだほんの少し若い、十四夜の月が昇る頃、 花火が一発打ちあがった。 轟音と共に炸裂した白い光が、まだ紫がかった夜空に、ぱあっと広がる。 「どうだ、珍しいだろーが!?東の大陸からはるばるやって来た棋士の一団がよォ、近年土産に…

リボンの棋士 29

本選準決勝戦。 王や王妃、大勢の観客の見守る中、いよいよ対局の時間が迫る。 今日用意された碁盤は二つ。その碁盤の前に並んだ四人。 用意されたくじを端から一人ずつが引いていく。最初にヒカル、いや、リボンの棋士が箱から紙切れを取り出した。 次いで…

リボンの棋士 28

コ――――… 明方、ヒカルは佐為の膝の上で思いっきりヨダレをこきながら爆睡していた。 昨夜の特訓は思いっきり熾烈を極めた。らしい。

リボンの棋士 27

準々決勝の日。 ヒカルは父や母と並んでロイヤルシートについていた。 準々決勝に勝ち進んだ六人の選手がそろい、恭しく頭を下げる。 遠く東の大陸より訪れた名手達、そしてその大陸より更に東の果てから旅をしてきたアキラに混じって、和谷や社といった、こ…

リボンの棋士  26

大会、本戦4日目。 アキラ、社、和谷を含む棋士達が今日の対局で更なる強敵とぶつかる。 彼等の活躍を、本当だったら見に行く筈だったのだが…。 「せっかく対局も出来ると思ってましたのに~~~!」 「しょうがねえだろ、明日は何とかしてやるから、」 「…

リボンの棋士  25

「う、うわああああぁっ!!」 絶叫と共に、突然ガバリと起きあがる、アキラ。 「は、はあっ…はあっ…はあっ…ゆ、夢…か…。」 アキラはベッドの上に上体を起こし、物凄い汗をかいて、肩で息をしていた。 「…。」 こめかみを押さえて首を振ると、白い寝着の胸元…

リボンの棋士  24

「どうだ?秀英。久しぶりの外界は気分がいいものだろう。」 「そうだね。でも外に出られたのはいいけど、どうしてイキナリ、コッチの国まで飛んで来ちゃったの?びっくりしたよ。」 「ハハ、面白い気配がしたものでね。」 「さっきの人だね…。でもまた帰っ…

リボンの棋士  23

ヒカルは未だ、胸の動悸を押さえきれずに立ちすくむ。 『で…でもさ、「天使の様だ」 だって。…キザったらしーヤツ…。』 『いいえ、それはヒカルのことじゃあ…』 ガク。 『へ?』 『アレは…私に…、』 その時、周りの人々が嬉々とした表情で、リボンの棋士をわ…

リボンの棋士 22

対局が進むにつれ、一柳の娘、千恵子嬢の腕がさすがに自慢するだけの事はある、ということがわかってきた。 ヒカルは慎重に一手一手打っているつもりでも、ヨミの甘いところをうまくつかれている事に気付く。 ヒカルの戦いぶりを見守る佐為も、昨日までより…

リボンの棋士  21

「さあ、コレでおしまい!」 「モゴモゴ~~!(あかりぃ、やり過ぎだよう!)」 ヒカルの部屋。 ヒカルは全身に包帯をぐるぐる巻きにされて、ベッドに寝かされていた。 「ぷはぁっ…。ねえっ!…コレじゃ動けないよ!」 指を引っ掛けて口元の包帯を引き下げ、…

リボンの棋士 20

御器曾卿は頭をマントで隠しながら、馬にしがみつく様にして逃げていった。 「くそう!こんなチャンスをしくじるとは情けねえ!いや、それより、俺だと気付かれてしまったのか!?だとしたら…、 …しかたねえ、しばらくこの国から身を隠すか…!」

リボンの棋士 19

暗い夜道を二頭の馬が駆け抜け、森の中に蹄音が響く。 伊角は馬に乗るのがあまり得意でないらしい。 和谷の後ろで今にも落ちそうになっている所を幾度か社に支えられる。 「オイ、何でコイツ連れて来たんや?」 「何言ってんだ!」 当然だ、とばかりに和谷は…

リボンの棋士 18

広場には色とりどりの灯りが点され、飲めや踊れの大賑わい、 その広場の片隅で、ひっそりと静かに杯を傾ける人物。 桑原博士であった。 手にした杯をコトリと置き、頭上に吊るされた沢山の灯りの間に見える月を、何か思案しながら眺める桑原。

リボンの棋士 17

午後の対局が合図とともに始まった。 本戦に望む棋士達、そしてご婦人枠の娘達もまた真剣な面持ちで盤面に向かう。 『ヒカル、対局に集中しないと…。』 『判ってるよウルサイなあ。』 『ヒカル、ホラ、あなたの番ですってば…。』 『もう黙っててよ、佐為、口…

リボンの棋士 16

溜息一つついて、アキラは自分の日課に戻ろうとした。が、 ふと踵を返しざまに、視界を空っぽのベンチが横切ると、思わず体がその場に縫い付けられたように動けなくなった。 アキラの瞳は、誰もいないベンチに釘付けになる。 さっきまでそこにあった姿がリア…

リボンの棋士 15

「(あー、もう、手っ取り早く剥いちゃえばわかる事なんだがなあ!)」 小心者のこの男の事だ。命と引き換えどころか、一族郎党みんな破滅の、そんな荒業などできるはずもない。そんなことを想像したところで実行に移すはずもなかった。 チョットくらい触っ…

リボンの棋士 14

「ふれあい囲碁まつり」は、そのふざけた名称とはうらはらに、情け容赦ないトーナメント棋戦である。 一日目が終わると、実に選手の四分の三近くが、戦いの場から姿を消す。 贔屓の選手が早くも敗退し、大騒ぎする貴族や、反対に勝ち残って祝杯を掲げる者、…

リボンの棋士 13

秋晴れのさわやかな空が広がる午後。 街外れの道端で、葡萄や木の実といった秋の味覚と共にのんびり午後のお茶を楽しむ村人が2人。 「…おい、向こうからカワイイ娘さんが駆けて来るぞ。」

リボンの棋士 12

「負けました。」 ヒカルは悔しさに歯を食いしばって、頭を下げる。

リボンの棋士 11

隣の受付では、森下が前日飛び入り参加の受付を担当していた。 「これは塔矢殿、如何です、我が国の囲碁まつりは。前夜祭でこの盛り上がりですぞ。いや、明日でお帰りになるとは残念…」 「師範殿、急な申し出で大変申し訳ないのだが…」

リボンの棋士 10

南の空に高く昇って見える月。まだ、やや膨らんだ半月だが、あと八日で満月を迎える。 その日には月の出と共に「ふれあい囲碁まつり」最終決戦が行われるだろう。 今夜は、明日その戦いの火蓋の切って落とされるのを待ちかねた市民等で盛り上がる、前夜祭。 …

リボンの棋士 9

数時間経過。 部屋の隅には、すっかり拭き清められたとはいえ、チョットもう使いたくないなって感じの、 哀れな犠牲者となった碁盤が置かれている。

リボンの棋士 8

<王子特訓プロジェクト> ☆☆目指せ神の一手!☆☆ …等という表題の下にカリキュラムを書き連ねる篠田師範。 手元の羊皮紙から顔を上げると、同じくテーブルを囲む王立棋院の師範達に向かって言った。 「ではカリキュラムはこの様な所で。よろしいですね。」 …

リボンの棋士 7

例の対局終了のしばし後。 とある客間。 塔矢藩の一行は宴の席を退いて、この寝泊りのための大きな部屋に戻って来ていた。 あの対局の後と云う事もあって、多くの者が話し掛けてきたが、 とにかく誰とも何も話す気になれないアキラは早々に自分たちに与えら…

リボンの棋士 6

石造りの狭い空間。 真っ暗な中、佐為がほんのりと光を放って灯りを提供してくれている。 「ヒカル?」 「ナニ?」 「何です?ここは…」

リボンの棋士 5

所変わって博士の寝室。 先ほど腰を抜かして運び込まれてから、ベッドに横たわっていた桑原。 表情は重苦しく、何やら考えにふけっている所だった。

リボンの棋士 4

―― 衝撃の発言から小一時間は経っただろうか。 桑原が腰を抜かして、年寄りが無理するなよ、とヒカルに抱えられて退場した後は 滞りなく式が終わり、祝の宴へと移っていた。

リボンの棋士 3

「一体なんですかこのホコリ!それに汗だくで!ああ、汚いったら、もうっ!」 あかりは容赦なくホコリまみれのヒカルに羽箒を叩きつける。 「イテイテテテテ、なんだよぉ、もっとそっとはたいてくれよ!全然羽根の意味ないじゃん! イテテ、軸当たってる、軸…

リボンの棋士 2

佐為は半泣きになって抗議した。 「それじゃあ、あまりにも時間なさすぎじゃないですか!なんです明後日って言うのは!」