なちぐろ アーカイブス

ヒカ碁二次創作のお話置き場です(ヒカル少女化注意)

順番に読む場合は「カテゴリー」(モバイル端末はページ最下段)から選択してください

ここさん

ここさん あとがき

ご高覧御礼 ここさん やっと完結です。 ダラダラ書いたお話にお付き合いくださり ありがとうございました。 …と、もう日記やチャットやTwitter、あちこちでぽろぽろ書いてるのが、見て見て感ありすぎて自分でも痛いですがすみません。 あまりに間を開けすぎ…

ここさん 47(完)

疾風のように現れて棋譜ならべを披露した女性記者が、再び疾風のように大阪へと去った後。 「へェー、そう。 なんとも忙しないねェ… 大場より急場、ってかい?」

ここさん 46

ヒカルがゆったりとお茶を嗜んでいたと同じころ。 穏やかな湾岸に淡路島を臨む広大な別荘では、白い洋装に身を包み、夏の休暇を楽しむ裕福な人々に囲まれ、指導碁に模範対局に囲碁談義に と駆り出されたアキラと清春。

ここさん 45

軽く掃除を済ませた庭は光を浴びて、庭の花々を躍る胡蝶に揚羽、蜜や花粉を求める働き者の蜂、高いこずえからはシャワシャワと聞こえ出す蝉の声

ここさん 44

検討も、もうお終いか という貴賓室。夏の長い日が、そろそろ終わろうとしていた。 新聞社で行われていた東西新人対局は、若手の棋士同士の碁には珍しく、一日かけての対局となったが

ここさん 43

部屋の戸が開く音がして、先ほど対局の二人が戻ってきた。悔しさもあるだろうに、白番だった男は戸惑う対局相手を先に立たせ、続いて部屋に入ってきた。

ここさん 42

決勝戦。先手を取ったヒカルの碁は 準決勝の一局とは打って変わってゆったりと始まった。

ここさん 41

取材は相変わらず許されなかったが、渡り廊下を挟んだ一室を使って検討が始まった。

ここさん 40

一方大阪では。 社清春と塔矢アキラの対局が、新聞社の最上階、貴賓室にて行われようとしていた。外は夏の好天、部屋にはやや高い天井に取り付けられた舶来の回転扇が周り、穏やかに風を送ってくる。南と東の壁に並ぶ縦長の窓は開け放たれて日除けのカーテン…

ここさん 39

「さァて、まずはなんとか取材を取り付けたでェ…、 しかし、かなわんなァ、“選抜の手合は立ち入り禁止、取材相手は運営の人間と、対局予定の終了した者”…って敗者てことやな。まァわからんコトではないなァ…」 スーツの腕に〈報道〉の腕章をたくし上げ、カメ…

ここさん 38

「先輩、ウチに取材に行かせとくなはれ。」 はあ?と先輩記者は驚いて聞き返す。 「取材って、そらァオマエも記者の端くれのつもりやろけど」 まだ一人前の記事を書いた事も無い者が、しかも女が囲碁将棋の記事を書くとは、笑う。

ここさん 番外編そのさん

「こーうすっけはーん …うーちましょー」 返事を待ったが答えは返らず、ヒカルは、ぱん、ぱん と、かしわ手を打ってみた。それでも返事はなく 「……もひとつせェー…、」ぱん ぱん 「祝ゥてさんど」ぱ ぱん ぱん 「ヒトをえべっさんみたいに呼ぶな!」

ここさん 37

「越智君、 ……ちいと可哀想な子ォかな。」 「…はあ。」 あの時はそんな会話で終ったが、果たしてヒカルの師匠は一体誰なのか、わからずじまいだ。

ここさん 36

康介はまた、丘の上にある中学に向かって歩いていた。 恩師に言付かったことがある、と言って出かけては来たが、未だ先方への答えを決めかねたままだ。 そもそも恩師に会うなら在宅中に家に訪れればいいのだが、中学への道沿いには、ついでに寄ってもいい、…

ここさん 35

ここは大阪、 吉川 と表札のある、一軒の家。 夜中というのに、どたどたと騒々しい足音が狭い階段を上がってくる。 「オイ、そっち支えたれ」 「ふう、重いのう、こんなガタイしくさって、酒回るのが早すぎじゃ」 「しゃあないて、コイツの祝いじゃ言うてエ…

ここさん 34

「伯父さん、お願いがありますのやけど。」 夕食の前に、ヒカルは、伯父の前に三つ指を付いた。 伯父が晩酌の盃を持つ手を止めて、ガラにも無くかしこまっているヒカルをチラリと見る。 「碁ォの勉強、させとおくれやす。」

ここさん 33

「あーそう、そういう事。」 座敷でいつもの場所に落ち着いた康介は、大きく息を吐きながら、汗ばんだ顔を拭う。 眼鏡をかけなおしながら、ヒカルから受け取った葉書を眺め、しばらく険しい顔で思案していたが 「なるほどね。」 片眉をピクリと動かした。

ここさん 32

ふと覗いた店の厨房は、店に置く菓子や注文の品々を作り終えて、がらんとしている。 「康介はん、時間ありやんすのやったら、久しぶりにコレちょっと、しゃーれんか。」

ここさん 31

葉書を書いた日から、ヒカルは郵便受けが気になって仕方がない。まだ相手に届いたかどうかもわからない頃だというのに、中を覗いたり、郵便屋を待ち待ち、周りを掃いてみたり。 おかげで玄関先、特に郵便受けのあるあたりはやたら綺麗に清められている。

ここさん 30

さて、かつて藩御用達の和菓子屋だった越前屋の由緒ある盆栽の一件は、賭け碁の末に不問とされた。それからしばらく後。

ここさん 29

ヒカルは対局を終え、碁石をきれいに片付けた後も碁盤を見下ろしていた。 やや上気してふやけたような顔は、長風呂でのぼせたようにも見える。

ここさん28

翌日、ヒカルは家の仕事をせっせとこなしていた。 「今日は早よから、えらいはりきってやんすが?」 従妹が不思議そうに言った、そのとたんに がっちゃん。 「あああ…!」ヒカルは慌てて割れた皿を拾い、肩越しに伯母の様子を伺った。

ここさん 27

「バカじゃないのか。今、負けたばかりで、あの態度は何だ。」 ヒカルが姿を消したあと、誰もいないのに、あの癪に障る笑顔がまだそこに残っているような気がしてならず、康介は庭木戸に向かって文句を垂れてみた。

ここさん 26

「……で?」 「………エッ。」 ヒカルは辺りを見回すのをやめて、碁盤の向こうに腰を据えた康介の方を向いた。

ここさん 25

ヒカルは途方にくれていた。 地形を見ればかろうじて帰路はわかるものの、あんな飛び出し方をして、どこからどうやって帰ったらいいものか。

ここさん 24

「ナニしてやんす!」 伯母が飛び込んできてヒカルの横っ面を張った。 布団の上に派手にひっくり返るヒカル。従姉は母と入れ違いに、転げるように部屋から逃げだした。

ここさん 23

ヒカル宛に何度もやってくる風変わりな葉書。 従姉はこっそり吊戸棚に手を伸ばし、葉書の束を手にしてみた。 秘密の暗号のような便りをこんなに何度も送ってくる、東京者の名前を、従姉はとうに覚えてしまった。

ここさん 22

「ほう、囲碁の棋士を…。まだ若いのにえらいもんですな。」 「ほんまに。よぉお出来にならはるんやねェ。」 ヒカルの消息を尋ねてやってきたアキラが、囲碁の棋士と聞くと、小学校の校長は感心したようにしげしげと見て言った。

ここさん 21

アキラは、いそいそと室町に向かった。 昼過ぎに京都に着くと、座間の使いだの宿の手配だのを大急ぎで済ませ、なんとか3時間あまりの自由時間を得ることができた。

ここさん 20

汽車は大阪の町に入り、清春は師匠について歩く。 「ワシの家は此処よりもう少し海寄りなんや、悪いな、長いこと歩かしてなァ。」 「イエ。」 「しかし碁盤て、そんな足つき背たろうォて来るとは思わんかったでぇ。丁稚のくせして、えらい立派なもん持っとっ…