なちぐろ アーカイブス

ヒカ碁二次創作のお話置き場です(ヒカル少女化注意)

順番に読む場合は「カテゴリー」(モバイル端末はページ最下段)から選択してください

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ここさん 17

呆気にとられた奉公人達も、遅れて追いかけてくる。 ヒカルは肩越しに見える彼らと、すぐ傍にある清春の顔を見比べた。 「……清春ゥ、そこ右に入りィ!」赤い袖を割り、ヒカルの細い腕が白い矢になって目の前に突き出る。

ここさん 16

「ごめんください。」 店に、一人の男が現れた。 「おこしやす、ええと…。」 見慣れない客だと女中が戸惑うのを見て、男はあわてて手を振った。 「いや、ワシは客じゃのおて、」 「ア、『カツマタセンセ』!?」

ここさん 15

ヒカルがアキラへの手紙を書いた 翌日のこと。 「清春、チョット待っときィ。」 登校の途中で通りかかった郵便局。ヒカルはこそっと袂の中を手探りしながら立ち寄ろうとした。 「ここさん、朝から道草はあきまへんって。…それ、なんですのや?」 「…なんでも…

ここさん 14

今日は新入段の選考のため、幹部に当たる棋士達が集まっている。 この時代の棋士選考は現代のようなプロ試験ではなく、日ごろの塾生の成績を土台に何人かを選び出し、文句なく力のある者はそのまま合格。多少力を見ておきたい様な者は、基準となる優秀な者と…

ここさん 番外そのいち

「ボ~ンさん 頭は~丸太町ィ~ つるっと滑~って 竹屋町ィ~♪」 まだ暦は冬の頃。底冷えする京の小路を行く人は皆、腕を懐の傍から離せずに、うつむき加減で足早に行く。 そんな中を、ここさん こと ヒカルが、道々わらべ歌など歌いながら、赤いつまかわの…

ここさん 13

「ヒカル、また行ってみィひんか?」 こねえさんは、自分が賭け将棋で学生達から相当巻き上げている事や、ヒカルを同じ碁会所に連れて行った事が父親にバレ、ヒカルはしばらくの間、清春に手を引かれて学校から直接お稽古事に連行される羽目になり 姉も、し…

ここさん 12

進藤屋の近所はしばらくの間、騒々しい日々が続いたものの、 次男坊が次女をさらって行った訳ではない、と云う事になってしまったので(…) 二人のことは当人達にまかせようか、と、白生地屋の主人とも話が落ち着いた後は、噂話の熱も醒めて平穏な日が戻って…

ここさん 11

「エッ?」 次女は驚いて姉に顔を向け、 三女はギョッとして身を引いた。 「……さい …さまァ?」 末のヒカルは、口をゆがめて素っ頓狂な声を上げた。 「サマ付けしてるのん? おおねえさん?」 おおねえさんが佐為を知っていることよりも、佐為「様」と呼ぶ事…

ここさん 10

昼間に受け取った塔矢からの葉書がヒカルの眼を固くしている。 布団の中に入って、いくらたっても、目が冴えたままで、指を布団から出して天井に向かって動かしていた。 やがてゆらゆら動く指がピタリと止まり、

ここさん 9

所変わって 東京。 緑多く土の匂いもする、古い江戸の町並みのところどころから、背の高い西洋風な瓦屋根が頭を出して見える。民家の並ぶ、細いのどかな通りをある場所を目指して、じゃりじゃりと靴底を鳴らして歩く男がいた。

ここさん 8

「おお、ヤッパリ清どんか、よう来たわい。ホレホレ、用が済んだらコッチャおいない。」 使いの先で清春は、店の奥から隠居の爺様に手招きされた。 「ウワ!…ッ、いや、へえ、あの、えろうすんまへんけど、仕事の最中ですさかい、今日は堪忍しとくれやす。」

ここさん 7

「ただいまァ…。」 母の使いで出掛けていた次女が帰宅してきた。 ふと上がり框に目をやり、 「また道草してんのやな…。」ヒカルの草履がないのに呆れて呟いた。 草履をなおすと、忙しく風呂敷の中から雑誌を取り出して母宛にと運んでいった。 「おおきに 幾…

ここさん 6

「お父さん、『壱銭五厘』『壱銭五厘』。」 「なんやな、またハガキかいな。」 帳場にいた父は、肩をすくめると、傍らの黒い文箱を開けて、買い置きのハガキを一枚取り出した。

ここさん 5

「あった、これや! …ふんふん、ふうーん、塔矢先生の圧勝やってんな。」 大きな新聞を両手でめいっぱい広げて覗き込んでいたヒカルは 糸きりバサミを持ち出して、小さな新聞記事をチョキチョキと切り出した。 「コラー!ヒカル!そんなトコでサボってんと降…

ここさん 4

『 …さァ来い どうした まだ打たないのか 』 アキラは両膝に手をつき、殺気立った顔でヒカルの応手を待った。 やがて、蒼褪めたヒカルが盤面に視線をうろうろとさせながら、一手打つたびに アキラは逃すまじと強気の応手で追い詰め、場の勢いを飲み込んでい…

ここさん 3

洋風の部屋の真ん中に敷物が敷かれ、その上にはすでに先に持参していた反物がいくつか広げられていた。 大人たち三人は再びその上で話の続きを始めた。 …先ほど廊下に広がった反物は元通りに丸められ、風呂敷に包まれて主人の膝の影にちんまりと置かれている…

ここさん 2

「急ぎィー!きよはるゥー!はよ追いかけてェー!」 ヒカルは清春の肩車で、片手にしっかり包みを抱え、もう片方の手でぎっちり丁稚の頭を掴んでいた。

ここさん 1

伝え聞き 思い込み うろ覚え 漠然としたイメエジ そういうもので出来ている お話。考証無用。 「ここさん?」 「へえ、おたなのお嬢さんをいとさん といいますねん。 一番上のお嬢さんはおおいとさん 二番目のお嬢さんはなかいとさん 三番目はこいとさん…こ…